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1 post from September 2005

September 23, 2005

失われた草原を求めて


 東京には草原がない。かつてはあったんだろうけど、時代は平成。東京で野原を探
すのは非常に難しいことが判明。で、僕らは映画撮影のために素敵な景色が欲しい
というわけだ。そこで、僕は唐突に長野行きを決行する。ええ、思い立ったら我慢なら
ない質なもので。撮影監督と連れ立って車で行こうと思ったところ、巷は連休で大変
な混雑が予想されるとのこと。新幹線+現地レンタカーが理想と思われたが、それは
それで出費であることは間違いなかった。撮影監督は金銭的な面か、ただ単に面倒
くさいのか、いまいち乗り気ではない顔をしていたので、説き伏せるよりひとりで行っ
た方が早いと判断し、そのようにして僕は長野へ行くことになる。うん、僕のささやか
な貯蓄は確実に減っている。

 翌日、朝の9時には長野入りを果たす。近いね、長野。新幹線で一時間くらいだった。
僕が降りたのは正確に言うと佐久平という駅。青山真治で表現するなら、ひどく「ユリ
イカ」的な景観だった。そこからさらにバスで一時間ほど揺られる。あれだね、明らか
にちゃんとした瓦屋根の家が多いね。冷静に考えると、地元でちゃんとした瓦がつい
ている屋根って見たことない気がする。景色を眺めながら、ぼけっと“くるり”なんかを
聴いているうちに牧場にたどり着いた。バス代は1200円だったけど、僕は万券と五千
円札しか持っていなかった。なぜか見知らぬおばさんが、「じゃあ私が」などと言って
五千円札をくずしてくれた。さらに小銭がまるでなかったのに、運転手は「じゃあ1000
円でいいです」とか言い出す始末。えっ、いいの? 長野で「じゃあ」2連発と遭遇。ア
バウトな運営って素敵だね。

 上着を羽織って牧場を散策する。とりあえず寒かった。牛だな、あれ。間違いなく牛
だ。牛がいる(何回も言うな)。なんとなくゴンドラに乗ってみたりする。う~む、上から
見た場合はいいけど、平面では画にならないくさい。平気な顔で速攻でゴンドラを逆
に降りて往復。ゴンドラ係員は「おまえは何しにきたの?」って顔をしていた。
 下に戻って、あんまり食べたくないのにソフトクリームを買ってみたりする。甘党とし
て杉並区から出馬中(好きにしろ)。次に目指すロケーションエリア行きのバスは1時
間半も待たなければいけないことが発覚。ここらへんで僕は、ようやく車がないと話に
ならないことに気付く。タクシーに乗ればいいやとか思っていたが、タクシーなんてど
こにも走っていなかった。観光案内所で徒歩で行けるか聞いてみたところ、「いやあ徒
歩は無理でしょう。徒歩で行く人なんていないよ」発言を食らう。でも、こんなところで1
時間半も待つのはごめんだったので、結局は徒歩で行くことにした。

 山道はどう考えても車のもので、そこを歩いているのは僕しかいなかった。1時間半
ほど歩くはめになったけど、そのあいだ歩いている人とひとりもすれ違わなかった。う
ん、大失敗だったくさい。本気できつかったし。「いや、俺歩きすぎだろう」って思いな
がら歩いてたし。途中、気晴らしにねこじゃらしを持って歩いてみたりしたが、残念な
がらぜんぜん楽しくなかった。
 ようやく到着した場所では、けっこう冴えない景色が僕を出迎えていた。これか。俺
はこれを見るためにこんなに歩いたのか。公園とか名づけられてるくせに、ただの傾
斜に草が生えているだけだった。え~と、どのへんが公園? あやしいので地元の
人に地図を見せて「ここが公園ですか?」と聞いてみると、「はい、ここが公園です」
という返事を食らう。ごちそうさま。おかわり希望。死ね(えっ?)。

 そして、余裕でそのへんにバス停はなかった。結局、またそこから歩くはめに。なに
これ? 苦行とかそういうの? そろそろ本気でギブだと思っていたあたりでバス停を
発見、ぼけっとバスを待つ。ちんたらやってきたバスに乗り込み、次なるロケーション
エリアへ。50分くらいで到着する。見た感じ、ここがいちばん使えそうな気がした。緑
というより秋色の草だったけど、広がりとしてはなかなかよかった。またリフトで上へ
あがる。そこから辺りを歩きながらデジカメで撮影。どういうふうに撮影するかイメージ
が沸いたし、撮りようによってはいけそうな気配だった。ただ、草がすでに緑ではない
のが残念なところ。

 まあ、とりあえずは収穫ということで、時刻も夕刻になりつつあったので帰途につく
ことにする。がー(無駄に伸ばす)、佐久平行きのバスは3時半で終わっていることが
判明。すみません、ただいまの時刻はまだ4時なんですけど。もうバスないの? び
っくりするね。新幹線乗れないし。よくわからないけど、とりあえず行けるところまで行
こうということで、茅野駅とかいうところまで一時間くらいバスに乗る。バス、バス、ま
たバスって話だよ。茅野駅に到着すると、新宿行きのふざけたネーミング「スーパー
あずさ」がやってくるまで一時間もあることを駅員に説明される。「ちっ、まるでスーパ
ーじゃねえよ」と駅員にツッコミを入れたかったけど我慢した。

 待ちの一時間と「スーパーあずさ」的な2時間で、このところ進んでいなかった「予告
された殺人の記録」を読破。とりあえず、サンティアゴ・ナサールは刺し殺されていた。
お気の毒。9時過ぎに懐かしき東京は新宿へ到着する。やっぱ都会なんだな、この街。
降りた途端に人がやたら多いし、人をよけて歩くという行動がなんだか不思議な気さえ
した。いいかげんまともなコーヒーが飲みたかったので、ベルクへ寄ってアイスコーヒー
とベルクドックのひととき。旨いね、これ。明らかに今日食べた物のなかでいちばん旨
い。せっかく長野行ったのに蕎麦食べる時間なかったしな。店内の喧騒にやたらと心
が和む。やっぱり僕は都会に生息すべき生きものらしい。

 そんなぐあいで、「予告された長野ロケハンの記録」は終了。では、本日の結論を。
最近、プロントで働いている女の子がじゃっかん気になります(なんの話?)。


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